『至らなかった』男の備忘録
※この文章には性的描写が多分に含まれています。18歳未満の方及び性的描写が苦手な方はブラウザバック推奨です。
この世には二種類の人間がいる。それは『勝者』と『敗者』の二通りだ。これを読んでいるあなたはどちらだろうか?スポーツ、或いはゲーム、なんらかの競技に限った話ではない。そう、『人生』、若しくは『男と女』。この世のあらゆる事象には勝敗の概念が存在する。
閑話休題。
結論から述べると、俺は『負けた』。何に?サッカー?バスケ?違う。俺はスポーツを嗜まない。ゲーム?それも違う。ゲームに負けたくらいでわざわざこんな場で文章を綴ろうとは毛頭思わない。
少し遡る。
※ ※ ※
「フルさんって童貞なんですか?」
俺の精神を完膚なきまでにズタボロに引きちぎる発言をしたのは俺の職場の後輩(彼女持ち)(結構イケメン)(マーベル映画が好き)。定期的に行われる飲み会での出来事だ。こういったやりとりはよくある話であるがため、俺は使い古された定型文のような返事をする。
「やかましいわバカタレ笑」
「彼女もできないなら、風俗行くしかないっすよ!」
出たよ、『風俗』。ここで俺の脳裏に過るのはTwitterのどうしようもないオタク達。その頃、というか現在進行形で『オタクの風俗体験レポート』が俺のTwitterのTLに跳梁跋扈している。そこには、あるものはそこで童貞を卒業し、あるものはイケずに失意の底に陥れられる。散々見てきたことだ。
「や、でも風俗はいいよ。思ってるほどハードル高くないと思う。」
横から口を挟む先輩。『むっつりスケベ』という日本語をそのまま体現したかのような風貌、顔面の持ち主である。先輩は現在独身彼女絶賛募集中だがそういった経験は豊富のようだ。
「先輩までそんなことを・・・・・。」
「何事も経験だって~。大丈夫大丈夫。」
基本的に先輩は無責任な発言をライン工場のように簡単に量産する。本当に胡散臭い。
「実際風俗行くとして、いろんなタイプのお店があるじゃないですか。初めてならどういうのがいいんすかね?」
「人にもよると思うけど、俺はどうせ金出すなら本番までできるソー〇がいいと思う。ピン〇ロとかだと抜いてもらうだけだし、ムラムラして終わるの嫌じゃん。」
「確かに。」
「2万くらいあれば簡単に童〇卒業できるんじゃない?」
「2万・・・・・高いっすね・・・・・」
2万は大金だ。当時俺は休みの日には関東に遠征して声優やアイドルのイベントに行く『オタク』だったから。2万あれば地元と東京を簡単に往復できるからだ。
「〇貞捨てれるなら安いよ。」
それはそうだ。俺が成人し社会に出てひとつ学んだことがある。それは『時間をお金で買う』ということ。俺がこれまで何年もかけて成し遂げられなかった行為を、2万出せば簡単にできるのだ。あまりにもコストパフォーマンスが高い。そう思うと少し乗り気になってきた訳で・・・・・
「じゃあ先輩今度一緒に行きましょうよ。」
「え、なんで笑 ひとりで行ってきなよ笑」
先輩は本当に無責任な人間だ。正直ぶん殴ってやろうかとすら思ったが俺も大人なのでふと沸き上がった怒りの感情を急速冷却した。
そんなこんなで、その後は特に風俗の話に発展することもなく仕事の愚痴や上司の悪口等で程々にヒートアップしつつ、程々の時間にお開きとなったのであった。
※ ※ ※
そして時は戻り、肌寒いある晴れた日のこと。魔法以上の愉快が限りなく降り注ぐということもない平凡な休日。
「行くか。ソー〇に。」
思い立ったのは突然だった。理由は自分でもよくわからない。ふと思い立ったから、という言葉で簡単に解決できるほどに曖昧な、とてもふわっとした動機だった。とりあえずそういうお店のウェブサイト群を軽くGoogleでチェックする。
「なるほど・・・・・大体どこも金額は大差なさそうだな。」
奇しくも地元は近隣地方の中でもそういった店が無数に列挙する所謂歓楽街的なものが存在する。それらの中から昼営業している店、自分の好みの女の子がいそうな店、料金設定をざっと見て回る。正直、よくわからない。
『風俗嬢の写メは参考にならない。』
どこからか伝え聞いた文言だ。確かに、現在の写真加工技術はめざましいものを感じる。Twitter等のSNSで散々見てきた。あるオタクは言っていた。『風俗ガチャ』と。なるほどガチャとはよく言ったものだ。ならば、いつまでもウェブサイトと永遠に決着のつかないにらめっこを続けているより、行動に移したほうがいい。
そう思ったら行動は早かった。先ずは軍資金の確保。昨日部屋を掃除していた時に発掘した金目になりそうなものをかき集める。それをら〇んばんに投げつける。それなりの金額になった。念のためもう少し多めに現金をATMから下す。準備は整った。後は『一歩踏み出す』勇気。
「すいません、13時から利用したいのですが・・・・・」
この電話一本をお店に入れるのに俺がどれだけ勇気を振り絞ったことか。
人生は常に『一歩踏み出す』瞬間の連続である。『踏み出す』のにはとても勇気が必要。BPM160をゆうに超える速度で脈打つ鼓動に耐え切れそうになくなる。それでも、『今』なんだと言い聞かせ電話をかける。大袈裟に思うだろうが、それだけのハードルがこの電話予約にはあった。
「ありがとうございます。希望される女の子はいますか?」
電話の声の主は男性だったが、優しく対応する。その優しさたるや寒い冬の日に食べる温かいクリームシチューのよう。緊張が少し解れた気がした。が、出勤している女の子の顔を覚えていなかった俺は
「あっ、あっ、あのっ、お店着いてから決めてもいいですか?」
本当に情けない返事をする。それでも社会人かよ。ガキが。それでも案内のお兄さんは
「大丈夫ですよ、お待ちしておりますね。」
淡々と、しかし優しく応対する。こういう客に慣れているのだろう。とても嬉しかった。俺にゲイの気質があったなら一撃で惚れていたことだろう。聖人とはまさにこの人のことを指すのだ、そう錯覚するほどに。
お店までの道のりはとても険しく長い道程のように感じた。徒歩15分ほどしか歩かないはずなのに、見慣れた景色のはずなのに、なんの変哲もない市街の道のはずなのに、まるでそこが異世界であるかのような感覚が俺を襲った。今から俺は魔王の城にでも赴くのかと。やがて10分ほど歩いたところで、10分というにはあまりにも長く感じる道程を歩いたところで、それらしき店が辺りに立ち並ぶ『歓楽街』のエリアに辿り着いた。
「・・・・・とりあえずリラックスしないとな。音楽聴きながら歩こう。」
ipodを取り出し、いつも聴いているプレイリストを立ち上げ適当に音楽を流す。橋本みゆきの『未来ノスタルジア』が流れる。とてもいい曲だ。何十回と聴いたかわからない曲がほんの少しだけ俺の心の緊張を解く。が、
「これよく考えたらエロゲの曲じゃん・・・・・」
と、少し気恥しくなる。次にランダムで再生されたのは川田まみのIMMORAL。これもエロゲの曲。俺はipodをしまうことにした。
店の前に辿り着く。真昼間にもかかわらず銀色に煌々と輝く入り口。正直、緊張してなくても入りにくいと思う。が、立ち止まっていても仕方がないので、再び勇気を振り絞りドアに手をかける。
「いらっしゃいませ。先ほどお電話くださった方ですね。」
入り口で電話の声の主と思わしき男性と遭遇する。声に違わぬ温和な印象。とてもいい人そうだという電話での感覚は嘘ではなかった。
「本日はどのコースにされますか?」
一番短いコースは40分で14000円。これに指名料が2000円付く。
「40分はさすがに短いか・・・・・どうせなら60分にするか。」
「それでしたらそちらの券売機で券の購入をお願いします。」
60分コース19000円+指名料2000円によるセットコース21000円の文字の書かれた券売機のボタンを押す。デジャブを感じる券売機。俺はどこかでこれを見たことがある。そう、『ラーメン二郎』である。だが、二郎の券売機より明らかにゼロの桁が多い。ここで改めて俺は自分の知らない別世界へ来てしまったのだと意識してしまい、委縮してしまう。
「それではこちらの待合室でお待ちください。」
あまりにもヤニの匂いで充満してそうなロビーに通される。実際はそこまでヤニ臭くなかったが。俺の他にも、30代くらいの雰囲気若そうな眼鏡の男と初老の男が座っている。
「(昼間から来てるやつ、やっぱいるんだな・・・・・)」
彼らはまるで人生2週目であるかのような強キャラじみた謎の風格を身に纏っていた。それでいて完全に自分の世界に没入していそうな、他人を寄せ付けないオーラ。それまで行ったオタク現場ではとても見たことのない『圧』に気圧される。
とりあえず空いたソファーに座る。隣の本棚には『ミナミの帝王』『ドラゴンヘッド』等の漫画が並んでいる。なるほど雰囲気が出ている。俺は雰囲気に呑まれないようスマホを取り出しプリンセスコネクト!Re:Diveを起動。あらかじめ消音にしていたので店内に「プリンセスコネクト!!!Re:Dive!!!」のタイトルコールが鳴り響くことはない。スタミナ消化を早々に終えてしまい虚無になる。そうしているうちに隣の眼鏡の人生2週目男が呼ばれカーテンの奥に消えていく。
「次は俺だ・・・・・」
そう思うと鼓動がまた早く脈打つ。爪を切りながら自分の番号が呼ばれるのを待つ。自分の整理番号があたかも囚人番号であるかのような恐怖にも似た感覚と必死で向き合いながら・・・・・
「25番さん、どうぞ。」
俺の番号が呼ばれる。いよいよだ。もうなるようになれ。破れかぶれにも似た自分を鼓舞するための言葉を心の奥で呟きいざカーテンの奥へ。
※ ※ ※
「こんにちは~!今日はよろしくお願いしま~す!」
嬢が出迎える。如何にもギャルといった風貌の女性。スレンダーが売りというだけあって美脚が遠目でもわかるが、自分よりは背は低いようだ。
「あっ、あっ、お願いします。」
緊張で声が上ずる。
「部屋は一番上なんで、階段で上がりましょっか」
「は、はい」
「ここ建物古いから階段急でしょ?しんどくない?」
「や、普段から階段上ってるからそんなに苦じゃないですよ」
「え、すご~い」
よくわからない会話をしながら部屋まで向かう。嬢は関西出身なのか関西弁だがそこまでキツくない口調で喋る。
「ここが部屋です。それじゃよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ」
小さいベッドと、お風呂がある謎の空間に来た。お風呂の横にはそういうビデオで見たことのある”あのマット”が置いてある。
「あの、とりあえずどうしたらいいですか?」
「あはは、緊張してるね~とりあえず上着もらうね」
上着を脱がせてもらい、ベッドに座って所謂ピロートークが始まる。
「どうしよ、めっちゃ緊張してる・・・・・」
「あはは、そんなに固まらなくていいよ~」
そんな感じで話し出す。嬢の不思議と話しやすい雰囲気から、こちらも意識せずとも言葉が口から紡がれる。
「いろはすのぶどう、美味しい~」
嬢はそう言いながらミネラルウォーターを口にする。なかなか蠱惑的な様である。
「わかるなぁ」
「飲んだことある?」
「うん、梨が一番好きだけどね」
「わかるなぁ~みかんは微妙だったよね」
そんな他愛のない話をしつつ
「俺、今日こういうの初めてでめっちゃ緊張してる」
「えっ、そうなんだ~結構話してくれるからそうは見えなかった。緊張しすぎて1時間全く喋らず終わる人とか結構いるからね。」
「えっ、それ勿体なくない?w」
「だよね~笑」
女性と話すスキルが欠如している人ということだろうか。なんにせよ自分はまだマシな部類らしい。アイドルやコンカフェ店員と普段から会話していて本当に良かった。
「それじゃ服脱いで、お風呂いこっか。」
そう言う頃には嬢はもう服を脱いでいて、下着も外していた。いつの間に。
「あっ、はい。」
不思議と服を脱ぐ時には緊張は多少マシになっていた。
「初めての風俗でソー〇来るの、なかなかハードじゃない?笑」
「それはそうなんだけど、どうせお金払うなら最後までできるほうがいいかなって思って」
「なるほど、確かにね~」
服を脱ぐと、嬢が体を洗ってくれる。自分の体を誰かに洗ってもらうのっていつぶりなんだろう、そう考えていると自分の体にそれまで経験したことのない『柔らかさ』が襲う。これは何だ。
「うっ・・・・・」
変な声が漏れてしまう。嬢が俺の睾〇を洗っているのだ。どうやら自分はここが敏感らしい、この時点ではそう思った。
「次はムスコさんを洗いますね~」
「えっ、うわっ」
また変な声を漏らす。これもまた自分の知り得ない快感。
「えっ、めっちゃ気持ちいいな」
「気持ちよくなってもらわないとね~」
嬢はそういいながら今度は背中を洗う。タオルや手とは違う明らかに柔らかい『何か』で擦られている。自分からは見えないが想像するには容易かった。
だが、この時点で俺の心には違和感のようなものが芽生えていた。そんなはずはない、そう自分に言い聞かせていると、嬢に浴槽に浸かるよう指示される。
「ベッドプレイとマットプレイが選べるんだけれど、どっちにする?」
嬢が提案してくる。聞くところによると嬢はマットプレイにおいては店内で右に出るものはいないほどの達人≪テクニシャン≫とのこと。ならば解答(こたえ)は一つ。
「マットプレイでお願いします。」
「初めてのソー〇でマットはすごいね~今日は初体験ばっかりじゃん!」
「どうせなら、ね」
「ローションは好き?まあ9割の男性は好きって答えるんだけれど」
「じゃあ、きっと好きだw」
「だよね~笑」
「じゃあ今日は、いろんな『初めて』を体験して帰ってね・・・・・」
ヌルヌルになったマットにうつ伏せに寝かしつけられると、嬢はそう言って体を動かし始める。最初は嬢の体の柔らかい部分が何度も当たっているのを感じた。そうしているうちに、『ある音』が聞こえてくるようになる。何かを吸引するような、エロゲやそういうビデオで散々聞いた、『あの音』が。
「ん、じゅる、んじゅる、じゅっ・・・・・!!!」
「!!!」
「んちゅっ、じゅるっ、んじゅっ・・・・・!!!」
「うわっ!」
声が出る。とても情けない、他人に聞かせたくないとてもみっともない声が。最初は背中だけだったが、やがて嬢の指と口は俺の汚い部分を侵略する。
「じゅぽっ・・・・・んちゅっ、んじゅるっ・・・・・!気持ちいい?」
「うん・・・・・」
「えへへ・・・・・じゃあ、ゆっくり仰向けになって」
その時、俺はまたも嫌な予感がした。先ほどの違和感に似た予感。信じたくなかったのだが、予感は的中した。
「ありゃ~〇ってないね~」
「ごめん・・・・・」
「謝ることじゃないよ、緊張してるのかな?」
「多分・・・・・」
「最初はそんなもんだよ、でも〇〇ないと入れられないからね」
「わかってる・・・・・」
「じゃあ『元気』にしてあげるね・・・・・?」
再び嬢が動く。色々な場所を責められる。胸、腹、そしてアレも。
「ぐっ・・・・・!」
「んちゅっ、じゅるっ・・・・・乳首、感じてる?」
「多分・・・・・うっ!」
快楽が襲ってくる。とても刺激的で、しかし温かい快楽が。
「あっ、元気になってきたね♡」
自分でも視認できるほどそれは大ききなっていた。よかった。今までの悪い予感は杞憂だったんだ。嬢はすかさず手〇キの態勢に入る。
「ぐっ、自分でするより全然気持ちいい・・・・・!」
「そりゃそうでしょ笑」
嬢は笑いながらも手〇キを続ける。そしてすかさずフェ〇チオをする。
「んんっ、じゅぽっ、んじゅるっ、じゅっ・・・・・!!!」
「ぐっ・・・・・!」
これがフェ〇チオ・・・・・!すごいなこれ。余談だが数日前プレイしたエロゲのヒロインのフェ〇のイベントCGがめちゃ好きだったので実際されて嬉しかった。
しかし何故だろう。気持ちいいのに、自分ですることでは味わえない快楽に溺れているはずなのに、あの感覚が充足してこない。そう、男性器を刺激されることでそこに集束されるはずの『射精感』が。
「んじゃ、挿れるね・・・・・?」
嬢はいつはめたんだ?と思うくらいあっという間に俺の男性器にゴムを装着し、自身の秘部に俺のアレを入れる。
「うぉっ、暖かい・・・・・」
暖かい。それが第一印象。これが人の『温もり』なのだと。
「はあっ・・・・んっ・・・・・あんっ・・・・・」
嬢は淫靡な声を上げながら腰を動かす。俺も興奮してきて、そのまま・・・・・
しかし・・・・
「あ~っ!!!」
笑い声交じりの変な声を上げたのは嬢の方だった。何があったのか俺はすぐに理解した。
そう、『中折れ』したのだ。情けないことに。本当に、本当に情けなくみっともないことに。
「ごめん・・・・・」
「気にしないで~、もしかして感じるの遅いほう?」
「そうかも・・・・・一人でやっても時間かかることたまにあるんだよね・・・・・」
「そっか、でもここは時間が決まってるから・・・・・」
「そうだよな・・・・・」
「もうちょっとやってみようか。シックスナインって知ってる?」
「それってどういう・・・・・」
「お互いに嘗めるの」
「よし、それやってみよう」
嬢はすかさず俺の顔に尻を向け、男性器を嘗め始める。
「んっ・・・・・指は入れちゃだめだよ」
そういうプレイはサービスにないらしい。嘗めていいと言われたので俺は嬢の例の部分を嘗め始める。手が今まで手持無沙汰だったので嬢の尻を揉みしだきながら。
「んっ、あんっ・・・・・大きくなってきたよ・・・・・♡」
「よしっ・・・・・」
「じゃあまた挿れるよ・・・・・」
ふたたび嬢の温もりがくる。挿入感というものだろうか、これは本当に気持ちがいい。だが、どうしても・・・・・
「ああっ、ダメだ・・・・・」
今度は俺の方から声が出る。何故だ。嬢はこんなにも頑張ってくれているのに。
無情にも電話の音が部屋中に鳴り響く。北欧神話の終焉を告げるギャラルホルンの音のように響くその音は、夢のようで確かに『現実』をつきつけた60分の終わりを確かに俺に伝えるのであった。
※ ※ ※
「そんなに落ち込まなくていいよ~!初めての人でイケない人って半分以上いるよ?それで2、3回来てイケるようになった人とか、全然合わない人とかもいるからね!」
嬢のフォローしながらもまたのご来店をお待ちしていますという営業魂を婉曲的に感じられる言葉がけがとても胸に沁みる。イケなかったけれど、それでも今日遊んでくれた嬢への心からの感謝の言葉をかける。
「ありがとう、楽しかったです。」
楽しかったという気持ちに嘘偽りはない。俺はそう言ってカーテンをくぐり、入り口の優しいお兄さんの「ありがとうございました」の声に会釈し、店を後にした。
正直、嬢自体に興奮しなかったのだと思う。緊張はとうにほぐれていたのだから。もう少し胸が大きい嬢を指名しておけば、マットじゃなくてベッドでしておけばよかったのでは、などの後悔にも似た念が脳内をグルグル回る。人間の身体のことなので相性というものもあるだろう。自分を正当化する為の言い訳じみたロジックを脳裏に展開させながら近くの松屋のカレーを食べていた。今日の松屋のカレーはいつもより苦いな。なんでだろうな。
※ ※ ※
前述したとおり、俺は『敗者』となった。シンプルにイケれば『勝ち』、イケなければ『負け』という単純な、そして一体誰と勝負しているのかわからない勝負に『負けた』。それだけ。俺は情けない負け犬なのだ。俺はここから這い上がれるのだろうか?嬢の言葉を思い出す。2、3回と通えば或いは、と。それはリベンジだ。一度『負け』たってまた這い上がれる。俺の心が本当に『負け』てしまわなければ何度だって挑戦できる。風俗も、人生も。
「リベンジ、すっかなぁ。」
沈みゆく夕陽を眺めながらボソッとそう呟いた。
あとがき
というわけで、gorendahkの人生初のソー〇レポでした。久々のブログ更新がよりにもよって風俗体験を元にしたラノベ風怪文書になるとは思わなかったでしょ?僕自身思わなかったしソー〇でイケてたらこれ書くつもりなかったです。まあ何事も経験だなと痛感したので今度はもうちょいムラムラが溜まってから行こうかなと思います。
ラストはこの怪文書を読んでくれた童貞オタクくんたちが「失敗を恐れない」ように希望を持ってもらいたくてああいうかんじで締めました。
遊んでくれた嬢のり〇んちゃん、本当にありがとうございました。リベンジの機会があるなら是非させてください。またオタクグッズ売って錬金できたらお店行きますね。
ここまで長い間お付き合いいただきありがとうございました。次回の更新は未定ですが年内にはもうひとつアホな文書こうと思ってます。言うだけならタダなんで、ね。